外傷時のRICEが常識・・・でした。

新米院長まついです。
いつの間にか夏休み終盤ですね。
学生さんはそろそろ宿題のラストスパートですね。
今回は怪我をした際の初期対応のお話です。

今でも多くの場面でRICEという言葉が多く使われていると思います。
R: Rest(安静)
I : ice(冷却)
C: compression(圧迫)
E: elevation(挙上)
まずは患部の安静、冷却、圧迫、挙上を行いましようという頭文字をとったものです。
この基本を覆すような研究発表があったのです。
‘冷却は肉離れの回復を遅らせる’という趣旨の論文です。
実際には論文内では、回復を遅らせる可能性と書かれておりこれから追試験で実臨床での確認、方向性が決まっていくのだろうと考えています。
オープンアクセスの論文なのタイトルを載せておきます。
Icing after eccentric contraction-induced muscle damage perturbs thedisappearance of necrotic musclefibers and phenotypic dynamics ofmacrophages in mice
調べていただくと全文を読めると思います。(AIで翻訳という手があります)
このような論文が出た際に注意が必要と常々思っていることがあります。
‘冷却が悪’と印象付けるような風潮になりがちです。
論文では、アイシングによる、1.筋繊維壊死への影響、2.マクロファージ表現への影響を示し、これらが肉離れ回復の遅れに影響していると結論づけています。あくまで顕微鏡レベルでのお話です。
過去の論文では、アイシングに対して、肯定的な論文と否定的な論文があります。それぞれ条件が異なる研究だと思われます。これから人体ではどのような条件で遅くなるのか、早くなるのか追試験・研究がされていくものと考えます。(上記の論文では、30分の氷によるアイシングを2時間毎に3セット、初日、翌日、翌々日まで行っています。筋肉や表面の温度測定などは行われていません。)
スポーツの現場(競技場など)では即座の診断(肉離れなのか骨折なのか靭帯損傷なのか)は難しいと考えます。まずはアイシングしていただき、過度の血腫(肉眼的)などは抑えておくのが今後も重要ではないかと考えます。