オスグッド病

オスグッド病(オスグッドシュラッター病)について
 スポーツをされている成長期(小学校高学年〜中学生くらい)のお子さんで発生しやすい膝関節下方(脛骨粗面部)に発生する病気(障害)です。
競技的にはサッカー、バスケット、バレーボールなどに多いとされています。
 膝関節の前に膝蓋骨がありますが、膝蓋骨は大腿四頭筋と呼ばれる膝を伸ばす役割をもつ筋肉の腱内部に発生する人体最大の種子骨です。種子骨・・・?。種子骨とは筋肉の腱の内部に発生し、テコの原理で支点となる骨です。大きな力がかかった時にテコを利用し、出力を上げるために必要となる骨です。(もしくは必要となったためできた骨です。)その他の種子骨では手の母指や足の母趾などやはり大きな力が加わる場所にできます。
 その大きな力が加わる人体最大の種子骨を介して力を加える、テコの作用点に当たるのが脛骨粗面になります。脛骨粗面は成長期のお子さんではまだ成長軟骨の部分があり(骨端線と言われます)、骨としては未熟なため、強大な力が繰り返しかかり続けることで怪我をしてしまう事があります。これがオスグッド病の原因です。


極端に書きましたが、膝を伸ばす筋肉(四頭筋)の引っ張る力で成長軟骨部分が引き剥がされるイメージです。

 特に成長期のお子さんでは、身長が伸びることに対して、大腿骨の前にある四頭筋の長さが追いつかず、四頭筋の緊張が強くなること、また、十分な基礎トレーニングがされないまま、同じ動作を繰り返すこと(サッカーだとキック楽しいし、バスケだとレイアップシュート楽しいですもんね)などで、障害に至りやすいと考えられています。(ちょっと痛くても楽しいが優先されてしまう世代かもしれませんね)
 成長痛などと思われることもあるかもしれません。まずはクリニックなどでの診断を受けていただくのが良いと思います。
 治療法としては、初期であれば、安静、固定などで対応します。リハビリでは、ストレッチや筋力のバランス訓練を受けていただきます。痛みが取れるまでに時間がかかるので、本人・周囲の大人の忍耐も必要です。進んでしまうと手術になることもあります。
 国際サッカー連盟FIFAが出している、11+ kidsなどの予防動画を見ていただき、予防トレーニングをしていくことも大事です。また、原因が同じ動作を繰り返すというところにあるのは間違いないので、プレースタイル・ポジションの変更、多種目の競技を行うこと(サッカー+野球とか)を検討することも予防になるかもしれません。
 ここまで書いてきて、気づかれている方もいると思いますが、’〜ことも’、’〜かも’という表現を使っています。確立された標準的治療法などがないのが現状と考えています。ないからといって放置はできませんし、ぜひ予防できるものは予防したいところです。また、なった場合は、親御さん、コーチ、メディカルの協力のもと、お子さんにも頑張って治療してもらいたいと思います。