骨粗鬆症について

新米院長まついです。

今日は骨粗鬆症についてのお話です。

人間の体を支える骨は、骨の骨格を作るコラーゲンと強度を与えるリン酸カルシウムから構成されます。骨には、人体を支える機能、血液を作る機能、臓器を外部から守る機能、運動の支点としての機能など様々な機能があります。

そんな骨ですが、人体の中で、カルシウムの貯蔵という役割も担っています。神経の伝達、筋肉の収縮などもカルシウムによって調整されています。カルシウムが体内で必要となれば、カルシウムを放出し、過剰となればカルシウムを沈着させます。このような過程で、骨は絶えず壊され、新しく作られる、という新陳代謝を繰り返します。
全身の骨が新しく生まれ変わるにおおよそ3年程度かかると言われています。
骨粗鬆症では、この新陳代謝において、壊される速度が早くなるか、もしくは、作る速度が遅くなることで起こると言われております。つまり、代謝のバランスが崩れると骨粗鬆症になると言われています。



骨粗鬆症は女性に多いとされていますが、その一つの理由が閉経以降に、女性ホルモンであるエストロゲン破骨細胞を抑制する)が減少することで、骨の破壊がスピードアップすることにあるとされています。そのため、わたしが研修医となった20年ほど前は、壊されるスピードを遅くする治療が主体でした。

現在では、骨を作ることも着目されるようになり、カルシウムの吸収を促すビタミンD、骨の材料となるリン、運動による骨への物理的刺激、日光浴なども調査され、骨粗鬆症の原因に対して適切な治療ができるようになりました。(近年患者さんには、骨粗鬆症に対してビタミンDの摂取を勧めるようになりました。2020年に始まったコロナの流行の際に、ウィルス感染予防に、ビタミンD摂取が有効であるという論文、報道がありました。その影響でビタミンDの入手が困難となり、治療中の患者さんの中には、入手に苦労された方も多かったかと思います。)



当院では、骨粗鬆症の診断として、
・レントゲンによる既存骨折の判定(脊椎、手関節、大腿骨、上腕骨)
・骨密度測定(DXA法での大腿骨、腰椎骨密度測定)
・採血による骨代謝、カルシウム・リン測定

などを行い、骨の破壊を抑える治療、骨を作るのを促進する治療、どの治療が良いかを判断しています。治療に関しては、継続すること、定期的な評価をする事が必要です。治療薬については、内服/注射の選択、毎日/毎週/毎月/半年ごと/年一回の選択を適応、メリット、デメリットについてお話の上、選択いただけます。地域の健診などで低下を指摘された方、しばらく骨密度の測定をされていない方など、ご相談いただければと思います。